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第1章

アンティヴァのアサシン王家からアンダーフェルスまで絶滅寸前のグリフォンまで、セダスはとても多様性に富んだ大陸だ。
しかし旅する中で、かつてセダスの人々が力を合わせて戦った物語を発見した。
それは自尊心と破滅の物語だ。
似たような伝承はいくつかあるが、どの伝承も核となる部分は同じだった。

デヴィンター大帝国は、その最盛期にはセダス全土に勢力を拡大し、暴君ともいうべき賢者たちによって世界は統一されていた彼らが崇拝していた古代神は彼らにブラッドマジックを与えたといわれており、その統治をより強固なものとするため、賢者たちは禁じられた魔法に手を出したという。
エルフや人間の奴隷の血をただ欲望を満たすためだけに大帝国の祭壇を流れ、その力にまつわる話はどれもおぞましく、今日ブラッドマジックの使用が禁じられていることがうれしい限りだ。

しかし、高く積み重なったものはいずれ崩れるものだ。もしかすると彼らは己の滅亡を予言したのか、はたまた彼らの自尊心が限界を知らなかったのか、理由はともあれ賢者たちはフェイドの心臓部で黄金の都につながる魔法の門を開いたのだ。
創造主が人間に対して目をそむけて以来、長きにわたって放置されていた主の玉座を奪わんがために。
彼らは力を持って神々の国を襲い、自らが神になろうとした。

これが教会の言うところの第二の罪だが、彼らは物事を控えめに表現するよう教えられているのはご存じのとおりだ。

多くの伝承によると賢者たちは黄金の都にまで達し、未だかつてどの生物も足を踏み入れたことのなかった、いや、踏み入れようとすらしなかった創造主の地に足を踏み入れたのだ。
しかし、人は神々の国に足を踏み入れて良いものではない。
賢者たちは自尊心や他の罪に押しつぶされ、黄金の都は彼らの存在によって汚されてしまう。
それまで完全なる拠り所だった聖なる場所が、禍々しい闇と悪夢の空間に変わった。
賢者たちは自身で作った門に追いやられ、犯した罪のため呪われてしまう。
黄金の都が汚されたように、賢者たちもまた禍々しい闇の存在へと変貌を遂げたのだった。
これがダークスポーンの誕生である。
かつてフェイドの心臓部で光り輝く灯台として君臨した黄金の都は、漆黒の都へと変わった。
人の自尊心がもたらした罪を象徴するかのように。

―――教会学者の修道士ジェニティヴィ著「セダス崩壊伝」より

第2章











第3章











第4章











Last-modified: 2022-11-18 (金) 19:30:58

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